AKB総選挙における須藤凜々花の結婚表明について
※本記事はあくまで私個人の考えであり、本件の真相を証明するものではありません
まったく、アイドルの記事なんてこのブログに書くつもりは無かったのだが、なんだか無性に書かなくてはならない気がした。
そもそも、私がAKBに関して興味が無かったら、ここまで掘り下げることはないのであるが、私も過去、ひとりのファンであった。
確か2011年末くらいに、「どんなものか」と調べていたら、いつの間にか、という感じである。恐らく、いかなるジャンルにおいても、ファーストインプレッションがよほど強烈だったか、いつの間にか好きになってるかのどちらかで、ファンになるのが多数だろう。
当時の私の推しは、みんな大好きこじはる期を経て、峯岸みなみへ移行していく。
いや分かってる。分かってるよ。峯岸より可愛いメンバーは他にいたし、もっとアイドルらしいメンバーもいたのは分かってる。それでも私は峯岸を応援したいと思ったし、「あ、これが “推す” という感覚か」と気付いたのも確かだった。
峯岸はAKBの1期生(実力というより運で合格したようなものなのだが)であり、加入当時は13歳であった。青春のすべてを彼女はAKBに捧げてきた、といっても過言ではない。
当時の峯岸は、自分がまっとうにアイドルをやっていても限界があることを悟っていて、バラエティ系統に精を出すようになったものの、後輩である指原の方がその路線で売れ始めてしまい、なんとももどかしくなっていた頃だった。
ちなみに、AKBの初期プロデューサーである岩崎夏海の著作『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の主人公・川島みなみのモデルは、他でもない峯岸である。
しかしながら、作品が映画化された際、峯岸は出演しているものの、肝心の主役は前田敦子が演じるという皮肉な事態になったのは、私がファンになる1年前くらいの出来事である。
それでも総選挙では、毎回ギリギリではあるが、選抜メンバー入りを果たし、じゃんけん選抜では3位を獲得したり、一般バラエティ番組のレギュラーになったり、大泉洋とドラマに出たり、仲良しの1期・2期メンバーが卒業したり、成人を迎えたり、彼女も新たな一歩を踏み出すかと思えた。
そして例の事件だ。
なんとなく、虫の知らせで訪れたAKBの公式サイトから、私は坊主姿の峯岸を、動画が公開されてから、わずか10分足らずで目にしてしまう。逆に運命を感じた。
もちろんショックだった。
正直、恋沙汰については仕方ないと思って割り切っていた。前述の通り、彼女の青春はAKBに捧げられた。しかし、思春期の女の子が自分の恋を形に出来ないのは、おそらく相当なストレスだろう。アイドルとは極めて過酷な職業であり、自分の行く先に不安もあったであろう彼女が、心の安寧を求めたとしても、私には責める義理がないと思った。それに成人してるし、お泊まりデートしても、まあ仕方ないと思った。
※恋愛禁止を忠実に守っているメンバーは、本当にすごい。
ショックだったのは坊主のほうだ。「髪洗うとき絶対大変だよなー。乾かすのに何十分かかるんだろう」と思っていた、あの長く綺麗な髪が無いんだ。そりゃショックだ。
それでも彼女は、そこまでしてでも、アイドルを続けたかったのだ。
一からやり直したかったのだ。
失った信用を、また取り戻させてほしいと願ったのだ。
無論、「ルール破ったけど、ここまでやって反省してる峯岸すげえ。ある意味アイドルの鑑だなおい」とかそういうことではなく、左遷された指原もそうだが、「今まで応援してきたファンを裏切ってしまったことが、アイドルとして正しいことでは無かったこと。そして、そのアイドルとファンの関係をまた構築させてほしい」と、自らがアイドルであるという自覚をきちんと持っているということだ。一度忘れたけども。
※ここでの “ファンを裏切る” は、“ルールを破る” ということである
そしてようやく本題に入る。
第8回AKB48選抜総選挙において、NMB48の須藤凜々花が、結婚することを自らのスピーチ内で表明した。
まずは、彼女がスピーチで話した全文がこちら。
須藤「皆さんもいつも本気で応援してくださっていて、たくさんの夢を一緒にかなえてきてくださりました。そんな中で、私は本当に初めてこんなに好きになれる人に出会えました。私は、今までのアイドル人生に一点も曇りもなく、ウソ偽りなく、本当に皆さんのことをアイドルとしてではなく、人間1人、須藤凛々花として、本当に大好きでした。だから…これから私が結婚をするという気持ちも本気です。皆さん、本当にいつもありがとうございます。本当にうれしいです、20位。本当にありがとうございます。私はいたって本気です」
徳光「あの、凛々花ちゃんね。今ご自身が何を話しているか、分かる?真剣なんだよな?」
須藤「はい。すごく、すごく迷惑を掛けることも分かっているんですけど、自分に皆さんにもウソをつきたくないと」
徳光「凛々花さんの言葉からは結婚という言葉が出たんだけれども、これは本当ですか?」
須藤「はい。本当です」
徳光「決めた?」
須藤「はい」
徳光「相手がいらっしゃる?」
須藤「はい」
徳光「おめでとうって言ってもいいの?」
須藤「ありがとうございます」
徳光「これはね…応援してくださった皆さんに一言」
須藤「本当に本当に、私は自分のことをアイドルだと思ったことがなくて、本当に1人の人間として皆さんのことがすごく大好きで、皆さんのおかげで、こうやって人として人への愛を教えてもらいました。本当にうれしいですし、きっちり真剣に生きていきたいと思います。本当に本当に20位うれしいです。ありがとうございます」
徳光「20位は立派な成績ですけれども、これから、どういう計画、青写真を描いていらっしゃるの?結婚とおっしゃったけど」
須藤「それは、折り入ってNMB48の大人たちと発表します」
徳光「相手はいらっしゃるの?」
須藤「相手はいます。でも、これ以上は言えないので、後日きちんと私の口から説明をしたいと思います。こんなにこんなに応援してくださる大好きな皆さんに私の口から言いたかったので、言わせてください」
徳光「もう一度、はっきり聞かせてください。結婚するんですか?」
須藤「結婚します!」
徳光「ちょっと、全員で言おう。せーのっ」
メンバー「おめでとー!!」
(スポニチアネックスより引用)
まとめるとこうだ。
①須藤は20位に入れて嬉しい
②須藤には現在、交際相手がおり、少なくとも須藤本人は本気で結婚するつもりである
③須藤は、ファンに対しては一人の人間として接しており、ファンのことは大好きであった
④須藤は、人としての人への愛を、ファンから教えてもらった
まず、須藤のファンは、何故彼女に投票したかを考えてみる。
そもそもこの選挙は、次のシングル曲における選抜メンバーを決めるための選挙だ。
となると「須藤を選抜メンバーに入れたい」が最たる投票理由だろう。
選抜メンバーになれば、須藤が話題になる。また選抜メンバーの中で順位が高ければ “メディア枠” を得られる為、須藤のメディア露出は増える。メディア露出が増えれば、人目につく機会が増え、須藤のファンが増える可能性も見込まれる。ファンが増えれば、次の選挙でより上位を目指すことも出来る。
従って「須藤を有名にし、将来的にも活躍させていきたい」という投票理由に収束される。
では、なぜ須藤は、選挙に立候補したかを考える。
普通に考えて「選抜メンバーになりたいから」である。もしくは「選抜メンバーに選ばれなくとも、カップリング曲で歌いたいから」である。
実際、須藤は今回20位になり、選抜メンバーではなかったが、一つ下のアンダーガールズに入っている。前回の44位から大きく躍進した。これを期に、須藤の知名度も上がり、活躍する場が以前よりは増えることが、約束されたようなものだった。
しかし、彼女は結婚を表明した。
ご存じの通り、48グループは恋愛禁止である。
秋元康が「別に禁止とは言っていない。ただ、アイドル活動を真剣に行っていれば恋愛をする暇なんてない」的なことを過去に言っていたが、その考えに基づけば、結婚をしながらにしてアイドル活動を行うことは、まして不可能だろう。(SDN48は対象外)
過去の事例に倣えば、結局、恋愛はルール違反なのであって、何らかの処分が課されることは、ほぼ明白である。更には、結婚をすると言っているのだから、そのルール違反について後ろめたい気持ちは無いということであり、それなりに重い処分が課されるはずだ。20位が撤回されることはほぼ確実である。
ということは、結婚の発表は、
ルール違反の公認であり、
アンダーガールズ当選辞退であり、
卒業(アイドル活動の継続は不可能であるため)と同義である。
この段階で、「選抜メンバーになりたいから」は、彼女の本当の立候補理由ではなかったかもしれない、と思われる。
つまり須藤は、
次のシングルに参加する気が無い、
そもそも、今後アイドル活動を続けていく気が無い、
にもかかわらず、
ファンに「応援よろしくお願いします」と言って投票させ、
20位まで上り詰め、
そのファンの苦労を、切り捨てたのか。
それはまるで、詐欺ではないか。
結婚する意思がないにもかかわらず、男をその気にさせて金を貢がせ、いざ結婚しようとなった時に関係を断ち切る “結婚詐欺” と全く同じ手口ではないか。
正直言って、最低の行為である。
「結婚はおめでたい」とか、「別に恋愛禁止しなくてもいい」とか、そういう次元でない。
20位が発表された直後のスピーチで結婚表明をすることが悪いのではない。
いつ表明をしようが、この行為は、本質的に最低なのだ。
今回19位だった峯岸は、須藤のあとにスピーチを行った。
一度左遷された指原は、1位3連覇という快挙を成し遂げた。
彼女たちの心境は、どうだっただろう。
彼女たちがアイドルとして、アイドルで在りたくて、必死にもがいて、ファンと自分を繋ぎ合わせようとしていたのに、
須藤は、ファンを捨てたのだ。
アイドルとして、絶対にあってはならないことだ。
須藤には、アイドルとしての自覚がなさ過ぎる。
・・・・・・そうか。
須藤「本当に本当に、私は自分のことをアイドルだと思ったことがなくて、本当に1人の人間として皆さんのことがすごく大好きで、皆さんのおかげで、こうやって人として人への愛を教えてもらいました。本当にうれしいですし、きっちり真剣に生きていきたいと思います。本当に本当に20位うれしいです。ありがとうございます」
もともと須藤にアイドルの自覚なんて無かったのだ。
気がつけば、須藤はこのスピーチで “ファン” と一度も言っていないのだ。
須藤の言う “皆さん” は、“自分を愛してくれる皆さん” で、“自分に愛を教えてくれる皆さん” で、“一人の人間として、自分が大好きと思える皆さん" だったのだ。
アイドルとファンの関係を構築するつもりは、彼女になかったのだ。
「投票にかけた金はご祝儀」と言っているファンもいるそうだが、強がりにも程がある。
もしそれが強がりで無いのなら、彼はファンでは無く、“皆さん” のうちの1人だ。
「アイドルは商品だ」と何かの記事で目にした。
若い女の子(男のアイドルもあるが)たちは、価値をつけられ、消費者の需要に合わせて改良され、買われていく。
そうやってアイドルビジネスは成り立っている。
もしかすると、須藤凜々花の本当の目的は、このアイドルビジネスに風穴を開けることだったのかもしれない。