さいしょでさいごのパリンドロ #2

 

 

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 ↓キャラ設定は話が進むにつれ、随時更新されます。

#あらすじ・キャラ紹介

#1「有馬鞠愛の今井舞への有り余る愛」

 

 

 

#2「仕込みの見込み、好みの神輿、このみの身にのみ見し腰蓑を」
 

 

海華「寒ぃー」ガラガラ

京子「あら、掃除当番は?」

海華「あー、なんか馬締(まじめ)さんが全部やっちゃった」

京子「また? 馬締さんって、あの凄い真面目な人でしょ?」

海華「うん。またっていうか、いつもそうだよ。私たちがやろうかなーって思ってたらもう半分くらい終わらせてる感じ。『黒板だけ消して下さる?』って言われたから、黒板だけ消してきた」

真埜「11人いる、馬締さんは」

海華「ね、本当に」

京子「海華たちが始めるのが遅いだけなんじゃないの?」

海華「違うよー、馬締さんが早いんだって」

鞠愛「こんにちはー」ガラガラ

舞 「こんにちは」ガラガラ

真埜「ん」

京子ごきげんよう

海華「やっほー」

海華「あれ、舞、前髪切ったの」

舞 「え………あ、はい、まあ……」

鞠愛「私が切ったんですよー」デーン

海華「そうなの」

舞 「単純に伸びてたからいつもの長さにしようとしただけなのに、鞠愛が『せっかくだから』って言って」

鞠愛「だって舞ちゃん、そのぐらいの方が可愛いよー。いつも可愛いけど」

舞 「私はもうちょっと長くないと困る……」

京子「照れたときに目が隠せないからでしょ?」

舞 「なっ……」ドキッ

海華「舞って、照れるとすぐに目見開いて、目泳ぎまくってるからね」

舞 「そ、そそんなことないです!」アワアワ

海華「ほれ今も」

鞠愛「うわー、すごい速い」

海華「ギネスいけるよ、ギネス」

舞 「世界一なんて狙ってません!!」

鞠愛「はわー!!舞ちゃんが感情を露わにしてる……」ハワー

舞 「尊 む な ! !」

京子尊いと思われてるのを自覚してるあたりが流石ね」

舞 「そういうわけじゃないです!」ブンブン

??「うわっとと!ああー!いゃぁー!」ドンガラガッシャーン

京子「すごい音したわね」

真埜「なんだろう」

舞 「ドアの向こうからですよね……」

海華「よいせ」ガラガラ

海華「あ、このみじゃん」

このみ「す、すみません遅くなっちゃって」

京子「って、何でそんなに大量の袋がばら撒いてあるの」

このみ「私が持ってきたんですけど、バランス崩しちゃって」

京子「すごい落としたわね」

真埜「何だろう」

海華「ん?なんか今凄いデジャブ感じたんだけど」

真埜「気のせいじゃない?」

鞠愛「あれ、このみちゃん、もしかしてこれって……」

このみ「うん、チョコ……」

 

海華「はー、やっぱ学園のアイドル・見ノ越このみともなると、貰うチョコの数も尋常じゃないんだね」

このみ「そんな、大袈裟ですよ……」

舞 「いやでもちょっと異常よ?この量」

このみ「ま、まあ私も下駄箱開けたらチョコが雪崩れてくるなんて、漫画の世界だけだと思ってたよ」

京子「え?これ全部下駄箱に入ってたの!?」

このみ「ああいや、3分の2くらいは教室で貰いました」

一同「ヒェェ」

舞 「うちのクラスにもいたわね、『このみちゃんにあげてくるんだー』って人」

鞠愛「うわー、しかも男の子からも貰ってるじゃん」

一同「ナンダッテー」

海華「あれー、バレンタインって全人類がこのみにチョコ渡す日なんだっけ……」

京子「これ流石に食べきれないでしょ」

舞 「少なくともホワイトデーには間に合ってないでしょうね……」

このみ「はい、なので皆さんに手伝ってもらおうと思って」

海華「ええ!?このみが貰ったんだよ?私たちが食べちゃって大丈夫!?」

このみ「大丈夫ですよ、『部活の人たちで食べて』って、みんな言ってましたから」

海華「いやそうかもしれんが」

真埜「でも、全部が義理チョコとか友チョコとは限らない」

海華「確かにそうだ」

真埜「現に、男子からも貰ってる」

海華「よし、じゃあ本命とおぼしきチョコに関しては、このみが責任を持って食べるとしよう」

このみ「いや、そんな本命なんて……」

鞠愛「でもこれだけあるんだよ?何個かは絶対入ってるよ」

舞 「実際、うちの男子もこのみのこと好きって言ってる人いるよ」

海華「いいなー、モテモテで」

このみ「別にそんなんじゃ……」

京子「けれど、本命とおぼしきチョコなんて分かるのかしら」

京子「『これ本命です!』って渡してきた人いた?」

このみ「いやさすがにそれは」

鞠愛「んー……あ!」

鞠愛「メッセージカードとか入ってたら本命っぽくないですか」

京子「確かに」

海華「じゃあなんかそれっぽいのあったら、このみに回すってことで」

海華「よし、それじゃあチョコパーティー始めよう!」

京子「待って、その前に」

海華「ん?」

京子「大量のチョコを目の前にして忘れかけてたけど、私もみんなにチョコ持ってきてるのよ」ガサゴソ

真埜「私も」

海華「おー、私も忘れてた」

海華「1年ズは?」

このみ「あります!」

舞 「持ってきました」

鞠愛「私も!」ドーン

海華「ま、鞠愛?そのそれはなんだ」

鞠愛「チョコですけど?」

海華「だろうね!?」

京子「何よ、その大きさは」

鞠愛「あー、いやこれは皆に渡す分じゃなくて、舞ちゃん専用チョコです」

舞 「はあ?」

鞠愛「皆さんには、はいこれ」ガサゴソ

海華「サンキュー、って、鞠愛、これ手作り!?」

鞠愛「ええ、そうですけど、なんかあれでした?」

京子「いや逆よ、逆」

真埜「お店のやつみたい、見た目が」

京子「このクオリティは、さすがに引くわね……」

舞 「鞠愛って、料理だけはすごいできるみたいなんですよ」

海華「“だけ”って……」

舞 「この前の自由メニューの調理実習、なに作ったんだっけ」

鞠愛「“エビのテリーヌ 舞ちゃんへの愛を添えて”」

鞠愛「“純愛で包んだ鱸のポワレ”」

鞠愛「“鶏肉と夏野菜のフリカッセ ツンデレ仕立て舞ちゃん風”」

京子「ツッコミどころ多すぎるわよ……」

鞠愛「その時フレンチハマっててですねー」

舞 「で、まあこれが美味しいんですよ……」

鞠愛「だって舞ちゃんのために作ったんだもん!!」

舞 「はいはい、ありがとう」

鞠愛「これで私も、晴れて舞ちゃんのお嫁さんになれるんだー!」

舞 「洗濯物は別々で洗うから」

鞠愛「なんでー」ブーブー

一同「(嫁に迎えることはいいんだ……)」

鞠愛「さあ舞ちゃん、私の愛を受け取って!」ドスッ

海華「愛が重い!!」

このみ「チョコいくつ使ってるの……?」

鞠愛「板チョコ10枚は使ってるかな。全然湯煎できなくてさ、困ったよ」

京子「溶けるには時間かかりそうね」

鞠愛「まあじっくりとやるのがいいんですよ、こういうのは」

京子「私、チョコ食べる前に自販機でコーヒー買ってくる」ガラガラ

真埜「行く、私も」トコトコ

舞 「あ、私も」トコトコ

鞠愛「いいなあコーヒー飲める人、大人って感じがして」

このみ「何が苦手?苦いから?」

海華「フフッ」

このみ「何で笑うんですかー」

海華「なニガニガてニガいからwwwwwwwwwwwwww」

このみ「そんなことですか……」

鞠愛「まあ苦さもあるけど、結局は味が全般的に」

このみ「酸味とかあるもんね」

海華「割とミルクとか砂糖で緩和されるんじゃないの?そこらへんは」

鞠愛「そしたらなんか負けみたいじゃないですか」

海華「なに、ブラックでしか飲んだことないの」

鞠愛「当たり前じゃないですかー」

このみ「でも紅茶には入れるでしょ?」

鞠愛「え?入れないよ。ストレートだよ」

鞠愛「私、ナチュラリストだもん」

海華「いやそれは誤用だぞ」

このみ「お砂糖入れた甘い紅茶も、それはそれで美味しいんだよ?」

鞠愛「そこは茶葉の甘みを感じようよー」

海華玉露入れる名人と同じこと言ってる」

 

真埜「がらがら」タダイマ

京子「いや逆よ、逆」

このみ「おかえりなさい」

海華「よーし、皆のチョコも交換したし、このみ宛ての友チョコに関しては全部開けたし、それじゃあレッツ、チョコレートパーティーだ!!!」

一同「いただきまーす」

一同「」モグモグ

一同「」モグモグ

一同「」モグモグ

海華「あ、これメッセージカードっぽいぞ。はい、このみ」

このみ「ど、どうも」

真埜「これも」

鞠愛「ん、これにも付いてたよ」

舞 「これ一応名前書いてあったから」

京子「あ、これ馬締さんじゃない!?」

海華「本当?」

海華「あいつめ、このみに手を出しやがったとは……」

真埜「12人目にするつもりじゃない?」

海華「何だそれ、怖え!」

このみ「何の話でしょうか……」

京子「いいえ、こっちの話よ。いやでもこのみってすごいのね、こんな高そうなチョコまで貰ってるわよ」

舞 「手作りのも沢山ありますね」

舞 「……鞠愛、なんで私のチョコそんなチビチビ食べてるの。不味かったなら正直に言ってくれても」

鞠愛「そんなわけないじゃん!!勿体ないからちょこちょこ大事に食べてるんだよ!!」ガタッ

海華「いやーでも、皆のチョコも美味しいなあ、さすが我が部員」

海華「特に、真埜のこの挑戦的な作品は実に素晴らしい」

鞠愛「スルメとチョコが合うなんて大発見ですね!これはメモしておかなきゃ」メモメモ

舞 「酸味と塩分と甘さのバランスが絶妙ですね」

京子「まあビジュアルはなんとも言えないけれど……」

海華「そう?地下ダンジョンの触手系ボスみたいでかっこよくない?」

舞 「触手て……」

京子「鞠愛の抹茶チョコも本当に美味しいわ。実に私好み」

鞠愛「京子センパイ、誕生日近いし、ちょうどいいかなって」

舞 「抹茶以外に何か入れてるわよね?妙に和菓子っぽいと言うか」

鞠愛「あー、ニッキとかハッカとか香り付けに入れたからね」

鞠愛「って、舞ちゃん、なんで私のジャンボチョコ食べてないの!?」

舞 「大きくて今食べる気分じゃないのよ」

舞 「それに他のチョコ食べる前に飽きちゃうわよ」

鞠愛「そう言うと思って、ちょっとずつ味付け変えてあるんだよ!!」

海華「いいなー、みんなチョコ作れて。私なんて作っても、結局みんなに見劣りするなって思って市販の買って来ちゃたわ」

京子「どうせ変な飾り付けでもしたんでしょう」

海華「何故分かる」

京子「あなたそういうところあるじゃない、見た目にこだわって余計なことして台無しにするでしょう」

京子「去年の文化祭の部誌の表紙見たでしょ、あれ海華が描いたのよ」

真埜「これ、『美しい日本語特集』」ヒョイ

鞠愛「あー、あのすごく前衛的なやつですね!」

舞 「抽象派かなと思いました」

真埜「あの時『もうやめて』って言った、私は」

海華「いやあれはもっと民族っぽくしたらいいかなって思ったんだよ」

京子「『美しい日本語特集』にエスニック要素要らないわよ」

海華「一応日本っぽいのも入ってるよ、これ神輿で、あとこれ腰蓑だし」

鞠愛「あー、タコとイカだと思ってました」

海華「はー?『美しい日本語』にタコもイカもいるわけないじゃん!蛇足だよ!」

真埜「上手い、今の」

京子「絵は下手ね」

海華「じゃあどうしたらよかったんだ!!」

京子「何もしなくてよかったわよ」

海華「じゃあなんだ、あのまっさらな表紙でよかったっていうのか!?」

海華「なんだナチュラリストか貴様ら!?!?」

京子「それ誤用よ」

京子「だから今年は舞がいて良かったわ」

真埜「結構、評判だった、表紙のデザイン」

舞 「そ、そうなんですか。恐縮です……」

京子「とにかく、次も海華は宣伝の方に集中して。デザイン関係の職種には一切関与しないこと」

舞 「職種て……」

海華「ん?なんか今また凄いデジャブ感じたんだけど」

真埜「気のせいじゃない?」

京子「そろそろ次の部誌についても考えなきゃいけない時期ね……」

海華「次どうしようかなー、京子どうすんの」

京子「短歌でいいかしら」

真埜「他にないの」

海華「毎年短歌じゃん」

鞠愛「あ、これメッセージカードだ。はい、このみちゃん」

このみ「……」

鞠愛「……このみちゃん?」

このみ「……」

鞠愛「おーい」

このみ「ふぇっ!?あ、何?」

鞠愛「いや、カード付いてたから、これ」

このみ「……あー、うん、ごめん、私ちょっとお手洗い行ってくるね」ガラガラ

鞠愛「うん……?いってらっしゃーい」

真埜「どうしたんだろう」

海華「さっきから全然喋ってなかったし、具合でも悪いのかな」

京子「最近寒いからかしらね」

海華「皆もインフルとか流行ってるから、気を付けるんだよ」

一同「はーい」

 

鞠愛「舞ちゃん……私、なんだか熱っぽい気がする……」ボー

舞 「本当!?大丈夫、鞠愛!?」

鞠愛「ちょっとクラクラする……」クラクラ

舞 「し、仕方ないわね……肩貸してあげるから、ほら」

鞠愛「ありがとう……」スッ

鞠愛「舞ちゃん……」

舞 「何よ」

鞠愛「頭撫でてほしい……」

舞 「え、ちょ、え??」

鞠愛「お願い……」

舞 「仕方ないわね!!ちょっとだけよ」サラサラー

海華「(甘い!甘すぎる!)」

京子「(鞠愛が弱ったときの舞、甘すぎるわ!)」

鞠愛「あんまり頭が働かないよぅ……」

舞 「それはいつものことでしょ。今日は帰れそう?何なら、私が鞠愛の親御さんに連絡しようか?」

鞠愛「うーん……」

舞 「あれ、鞠愛?」

鞠愛「クー……、クー……」zzz

海華「寝たかな」

京子「寝たっぽいわね」

真埜「(鞠愛、たぶんあのウイスキーボンボンで酔っただけ)」

海華「(バクバク食べてたからなー)」

京子「(舞に教えたら地雷よね)」

舞 「先輩方、なにをひそひそ話してるんですか」

海華「あー!いやいやなんでもない」

京子「それよりこっちの食べましょうよ、ね?」

海華「ん?このお店、って、あ!見上餅で有名なお店じゃんこれ」

京子「見上餅風のチョコかしら」

海華「いや、これは……」ガサゴソ

海華「見上餅そのものだな」

京子「じゃあ、チョコ味かしら」

海華「いや、これは……」クンクン

海華「おえー、胡麻チーズだよこれ」

舞 「えーと、『バレンタイン特別フェア、胡麻チーズとチョコレートのミックス餡です』ですって」

海華「ネタかな」

京子「ネタっぽいわね」

海華「ん?なんか今またまた凄いデジャブ感じたんだけど」

真埜「気のせいじゃない?」

海華「まあ、これはこのみ行きだな、ってあれ?このみまだ帰ってきてないの?」

舞 「そういえば」

京子「ちょっと遅いわね……」

海華「なんか心配だな」

真埜「変なものでも入ってたんじゃない、チョコの中に」

京子「ちょっと、そういうこと言うのやめなさいよ」

海華「いやでも一理あるんじゃないかな」

京子「どうしてよ」

海華「例えば、このみが大勢の人からチョコを貰ってるのを見て、このみのこと妬んでるやつが、毒入りチョコをこのみに渡したら……?」

京子「やだそれ怖い」

海華「このみが食べてたチョコ見てみよう!!」

京子「いいの?勝手に見て」

海華「緊急事態だ」

真埜「得ない、やむを」

海華「お、メッセージカード発見!なになに、『大事な話がしたいので、6時に教室に来て下さい』」

海華「ラブレターじゃねえか!!」パーンッ

舞 「今日チョコ食べなかったらどうするつもりだったんだろう」

海華「くっそー、憎いなあ、このみのやつ」

舞 「あ、これもカード。『付き合ってください』……あと名前が書いてありますね。あー、このみのクラスの男子ですね」

海華「またしてもラブレター!?」

真埜「『あなたを見ていると幸せな気持ちになれます。これからも頑張って下さい』」

海華「ファンレターかよ!?!?」

京子「んー、あ、これもカードだわ」ピラッ

京子「『調子に乗らないで』」

一同「……」

一同「……」

一同「……」

一同「これだ!!」

鞠愛「え、何!?」ハッ

舞 「あ、鞠愛。おはよう」

舞 「具合は大丈夫?」

鞠愛「うん……それより、何、この騒ぎ……」

海華「大変だぞ、鞠愛。今このみが殺されようとしている!」

鞠愛「ええええええええ」

京子「そこまで大袈裟な話ではないけど、でもまあ、状況が状況なら、立派な犯罪にはなるかもね」

鞠愛「そんな……」

海華「差出人は?」

京子「いや、それは書いてなさそうだけど……ん?」

舞 「どうしたんですか」

京子「いや、これ何かしら」ペラッ

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海華「うにゃー、私パス。こういうの無理」

舞 「暗号的なやつですかね」

鞠愛「私もあんまり得意じゃないなあ」

舞 「どうしましょう、真埜先輩」

真埜「私眠くなってきた」

舞 「どうしましょう、京子先輩」

京子「横文字入ってる時点でお手上げだわ」

舞 「横文字って、下のローマ字だけじゃないですか」

舞 「皆さん、これで犯人の名前が分かるかもしれないんですよ?」

海華「頑張れ、舞」

鞠愛「舞ちゃん、私も手伝うよ!」

舞 「いや、いい」

鞠愛「なんでー」ブーブー

舞 「特徴的なのは、この未完成の数字ね」

鞠愛「半分に切れてるやつ?んー、“1”の下半分と、その隣のは“4”の上半分かな」

舞 「多分。あとは、この“5”の右上のバツ印ね」

京子「どう、謎は解けた?」

舞 「いやあ、でもそこから先がさっぱり」

京子「解けるには時間かかりそうね」

鞠愛「まあじっくりとやるのがいいんですよ、こういうのは」

海華「ん?なんか今またまたまた凄いデジャブ感じたんだけど」

真埜「気のせいじゃない?」

海華「あ、そういえば、さっきのラブレターの相手って、告白するんだよね」

京子「でしょうね」

海華「確か、6時だよね」

京子「あと3分ね」

真埜「じゃあそっちにいるんじゃない?このみは」

舞 「私ちょっと見てきますよ」

鞠愛「あ、私も行く」

海華「分かった、じゃあもしこのみが教室に来なかった時は、申し訳ないけど舞たちが、その男の子に伝えてくれる?『このみは体調悪くて家に帰りました』って」

鞠愛「えー、若干嘘ついてるじゃないですか」

海華「余計な詮索されるよりはマシだよ」

舞 「じゃあ行ってきます」

 

鞠愛「……」モクモク

舞 スマホ弄るのやめなさいよ、先生に会ったらどうすんの」

鞠愛「あ、舞ちゃん、あとでこれやろうよ」スマホッ

舞 「何よ」

鞠愛「恋愛のタイプが分かるんだって!今ネット記事で見つけたんだー」

舞 「鞠愛はどうせ、そのManiaってやつでしょ。ほら、マリアとマニアって似てるし」

鞠愛「いや関係ないよー」

舞 「私は多分Storgeね」

鞠愛「それじゃあ相性最悪じゃん!」

鞠愛「……」モクモク

鞠愛「今日ね、にぼしの日らしいよ」

舞 「何?にぼしチョコ?」

鞠愛「いやー、それは攻めすぎじゃないかな……」

舞 「で、なんでにぼしの日なの」

鞠愛「2月14日だからだよ」

舞 「いや、“2”と“4”は分かるけど、“1”は?」

鞠愛「棒」

舞 「は?」

鞠愛「棒」

舞 「……“1”が棒で、2棒4(にぼし)?」

鞠愛「そう」

舞 「鞠愛、いい加減にしなさいよ」

鞠愛「なんで舞ちゃん、怒ってるの」

舞 「だってあまりにも無理やりすぎるでしょ!」

鞠愛「私だってそう思ってるよ!」

舞 「あんだけ語呂合わせにこだわってたくせに!」

鞠愛「作ったの私じゃないよ!全国煮干協会だよ!」

舞 「どこよ!」

鞠愛「ロゴが独特すぎるところだよ!」

男子A「あのさー……」

舞 「はい?」

鞠愛「え?」

男子A「この辺に誰か来なかった?」

鞠愛「(あ、もう教室の前着いてたね)」

舞 「(鞠愛が変な話するからよ)」

鞠愛「って、あー!サッカー部の有名な人だ!」

男子A「ああ、一応」

鞠愛「もしかして、このみちゃんのこと待ってるの?」

男子A「え?あ、おう……」

鞠愛「私たち、このみちゃんと同じ部なんだけどね、このみちゃん体調悪くておうち帰っちゃったんだよ」

男子A「あー、まじか……」

鞠愛「代わりに伝えん来たんだ」

男子A「そうなんだ、悪ぃな」

鞠愛「まあ、まだチャンスはあるよ!」

男子A「おう、ありがと」

舞 「!!」

舞 「鞠愛、行くよ」ガシッ

鞠愛「あわわ、舞ちゃん?」

舞 「早く」グイッ

鞠愛「じゃーねー、サッカー部の人~」

舞 「……」スタスタ

鞠愛「ちょっと、舞ちゃん?人見知りなのは分かるけどさ?さすがに……」

舞 「そうじゃないわ。鞠愛、シャツの第2ボタン締めといて」

鞠愛「あれ、本当だ。開いてる」

舞 「『熱っぽい』って言ったときに多分開けたんでしょう」

鞠愛「そうかも」

舞 「気づかない私が悪かったわ。あいつ、鞠愛の胸ばっか見てたわよ」

鞠愛「えー?全然気づかなかったよ?」

舞 「私からはそう見えたの!」

 

鞠愛「ただいま~」ガラガラ

舞 「戻りました」

海華「お、どうだった」

舞 「このみ、来ませんでした」

海華「え、まじか!?」

海華「どこ行ったんだ……」

鞠愛「ほらー、見て舞ちゃん。全国煮干協会のロゴ」スマホッ

京子「なによそれ」

舞 「今日、煮干しの日なんですって」

京子煮干しの日?2月14日だから?」

真埜「“1”は棒」

舞 「酷くないですか、この語呂合わせ」

海華「舞は語呂合わせ好きだなー」

舞 「いや別にそういうわけじゃ」

一同「……」

一同「……」

一同「……」

一同「語呂合わせだ!」

舞 「さっきの暗号!」

鞠愛「はいこれ!」ペラッ

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鞠愛「えーと、“0”は?“ゼロ”?」

舞 「“れい”じゃない?下の“R”と合うから」

鞠愛「じゃあ“10”は“T”があるから……“とう”?」

海華「で、“1”は下半分だけだから“いち”の“ち”かな?」

真埜「“CHI”の“C”だね」

海華「“4”の上半分が“よ”」

京子「“5”は……、このバツ印の下はなんなの?」

鞠愛「んー、点々じゃないですか?」

海華「濁点のこと?」

京子「“ご”の濁点がないってことは、“こ”?」

海華「うん、“K”とも合うね」

真埜「出来た文字は?」

海華「誰なんだ!?」

鞠愛「“れい”“とう”」

舞 「“ち”“よ”“こ”」

一同「麗藤智代子!?!?」

海華「ってあの!?」

京子「何、知ってるの?」

海華「知らない!」

京子「あ、そう……」

京子「麗藤智代子さんって、このみのクラスにいるの?」

鞠愛「んー、私は知らないなあ」

舞 「すみません、私も思い当たらないです」

海華「2年も、私らが知る限りではいない……か?」

真埜「うん」

京子「そうね」

海華「3年は、受験シーズンだから、そもそも来てる人少ないし、こんなことやってる場合じゃないとして」

京子「文香先生に聞くのが手っ取り早いかしら」

海華「えー、文香先生?」

京子「一応、顧問じゃない」

海華「そうだけどさ……」

 

回堂文香「知らないな~……麗藤さん」ポワポワ

海華「卒業生は?」

回堂「私の記憶では~、いないかな~」ポワポワ

海華「先生には?」

回堂「いないかな~」ポワポワ

海華「本当ですか?記憶辿ってます?」

京子「(海華、失礼よ)」

海華「(だってこれ何も考えてないでしょ。ポワポワって書いてあるし)」

回堂「上浦さんたち、なんだかいい匂いがするね~」

回堂「甘~い匂いかな~」

海華「あ、チョコありますよ。先生食べます?」

回堂「え~?いいの~?」

教頭「回堂先生!?大丈夫なんですか?」

回堂「大丈夫ですよ~」

海華「??」

回堂「じゃあ、いただくね~」パクッ

教頭「き、君たち、早く、部活に戻りなさい」アセアセ

海華「は、はい……?」

 

海華「ただいまー」ガラガラ

京子「あれ?」

海華「あ、このみ!?」

このみ「……」

京子「大丈夫なの!?!?」

海華「全然帰ってこないからさ、心配したよ」

海華「今さ、頑張って犯人探してるんだけど、全然見つからないんだよ」

京子「このみは麗藤智代子って聞き覚えない?知り合いにいないかしら?」

海華「あ、もしかして偽名なのか!?そりゃそうか、毒入りチョコの犯人がわざわざ自分の名前書くわけないか」

舞 「先輩」

海華「ん?どうした?」

舞 「いないんですって」

海華「え?」

舞 「いないんですって」

真埜「麗藤智代子はいない、この世に」

海華「すでに死刑に処された……?」

京子「いや違うでしょう……」

京子「架空の人物だったってこと?」

舞 「そうみたいです」

海華「やっぱり偽名か!」

京子「いや、そろそろ分かりなさいよ」

海華「冗談だよ。でも、なんで?」

このみ「あの、皆さん……」

このみ「ごめんなさい!」

海華「どうした」

このみ「ごめんなさい!ごめんなさい!」

このみ「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

鞠愛「このみちゃん、一旦落ち着いて」

海華「え? 餅ついて?」

鞠愛「さっき私の胸元見てる男がいたんですよ~」

海華「な~~~~にぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」

京子「うるさい!!!」

海華「すまん」

京子「えーと、このみ?麗藤智代子を作ったのはあなた?」

このみ「はい」

京子「どうして?」

このみ「そもそも、このメッセージカード自体、私が作ったんです」

海華「え?なんだって!?」

このみ「私が戻ってこなかった時、皆さんに時間を稼いで欲しかったから……」

舞 「稼ぐって、何の時間?」

このみ「6時。告白されるまでの時間」

京子「もしかして、このみは、最初から6時に教室に行くつもりはなかったの?」

このみ「はい」

海華「つまり、このみがトイレからなかなか帰ってこないことに気づいた私たちが、メッセージカードを探すと見込んで」

京子「私たちがそのメッセージカードを見つけたのは、このみが部室を出てからだから」

海華「6時になっても帰ってこなければ、私たちが代わりに教室に行くんじゃないかと思ったわけ?」

このみ「はい」

海華「で、その6時になるまで、存在しない麗藤智代子を探してほしかったわけだ」

このみ「はい」

海華「丁寧に仕込んでるなあ」

京子「にしても、私たちも馬鹿ね。麗藤智代子がチョコレイトから来てるのに気づかないなんて」

鞠愛「…………あ、本当だ!? すごいね、このみちゃん!」

このみ「あー、いや、うん……」

舞 「でも、なんでそんなことしたの?」

鞠愛「告白受けるの嫌だったの?」

このみ「嫌というか、告白を断るのが嫌なの……」

海華「あー、断る前提かー。モテる人は違うなあ」

このみ「いや、そういうんじゃなくて!」

京子「分かってるわよ、このみ。海華も今は茶化すような時じゃないでしょ」

海華「ごめんよ」

真埜「あるの? 断らなきゃいけない理由が」

このみ「告白してきた人を傷つけたくないから、ですかね……」

海華「ええ?それならやってることが逆じゃん!?」

このみ「ああ、いえ、今までに告白をしてきてくれて、私が断った人を傷つけることです」

京子「つまり、どこかでOKを出したら、今までにNOと言った人に失礼なんじゃないかってこと?」

このみ「そうです」

舞 「でも、別にいいんじゃない?このみが付き合ってもいいと思った人にOKをするんだから。告る側もその覚悟で来てると思うけど?」

このみ「いや、私そもそも付き合う気なくて……」

一同「ええ?」

鞠愛「ん? このみちゃん、今まで何人と付き合ったの?」

このみ「え、いないけど……」

一同「ええ!?」

海華「貴様あれか、バッターボックスには何回も入れてもらえるくせに、全っ然打たないやつだろ!」

真埜「打率ゼロ」

海華「おま、何年前から打席もらってると思ってんだよ?」

このみ「いや、ここ最近かと……」

海華「……え?どういうこと?」

このみ「あー、いや、その、あの」

鞠愛「なに、このみちゃん?」

このみ「私、その、言ってなかったんですけど、高校デビューした……というか」

一同「えええ!?!?!?」

京子「そ、そうなの!?」

このみ「はい、私、中学まではもっと地味で……」

海華「生まれた瞬間からチョコ貰ってるんじゃないの!?」

京子「なんで子宮の先にチョコ待ってるのよ」

海華「えー、本部より連絡。至急、子宮前にチョコを支給」

京子「全然面白くないわよ」

真埜「酷い、デッドボール級に」

海華死球かー」

鞠愛「え?でも本当に高校デビュー?」

このみ「本当だよ。眼鏡かけてたし、おさげだったし。すごく地味だったなあ」

このみ「それに、これと言って出来ることもなかったの。勉強も、運動も、あんまりで……」

鞠愛「私もそうだよ!」

このみ「鞠愛ちゃんは、その明るさがあるでしょ?」

このみ「私はその時、根暗だったし、それに色々ドジばっかりしてたから。友達も出来なかったし、先生にもあんまり好かれなかったかな……」

このみ「私自身、誰かを好きになることもなかったし、何かを趣味にすることもなかったかなあ」

海華「そうなんか」

このみ「あ、でも、歌を歌うことは好きでしたね」

このみ「幼稚園時代なんですけど、私、柄にもなく公園で歌ってたら、同い年くらいの女の子がやって来て、すごい自分に自信がある感じで、友達が多そうで。それである時『あなたの歌、すてき』って褒めてくれたんですよね……。その子が唯一の友達だったと思います。高校入るまでは」

京子「その子は、いまどうしてるの?」

このみ「何日か会いましたけど、どっか行っちゃったんですよね。そういえば『私アメリカ行くの!』なんて言ってた気がします。あれカナダだったかな、オーストラリア?」

このみ「って、全然関係ない話しちゃいましたね、すみません」

鞠愛「いい話だねえ」ビエー

海華「うち、こういう話弱いんやわぁ」ホロリ

このみ「まあ、それで、このままじゃダメだと思って、高校入ったら自分に自信が持てるようにって頑張ったんです」

このみ「おしゃれとか、コミュニケーションとか、あと、……笑顔とか」

鞠愛「このみちゃんの笑顔、すっごく可愛いよね!」

このみ「そんな、鞠愛ちゃんの笑顔の方が可愛いよ」

舞 「……」チラッ

京子「で? じゃあ高校入ってから、意図せずにモテてしまったってこと?」

海華「意図せずにねえ」

このみ「ま、まあ……」

このみ「最初の頃は、いきなりでびっくりしちゃって、もちろん断ったんです。でも、そしたら次から次へと……」

海華「それで、他の人にも申し訳なくて、断り続けちゃったんだ」

このみ「はい。あと、断るときにも、やっぱり罪悪感が凄いんです。だからいっそ、断らずに済むように、告白を受けないようにしようって思ったんです」

海華「それで今日のやつね」

このみ「ただ約束を破るのは申し訳ないので、誰かが代わりに『私が来れなくなった』って伝えてくれれば良いな、と」

海華「んー、でもこのみの気持ちも分かるけど、やっぱりそのやり方は、告白する側にちょっと失礼なんじゃないかな」

京子「そうね、舞もさっき言ったけど、相手もそれなりの覚悟を持ってきてるはずよ」

このみ「そうですね……」

鞠愛「それに、今回みたいなのはもう止めてね。すっごく心配したんだから」

このみ「だよね、ごめんなさい」

海華「『付き合うつもりはない』ってちゃんと言ってる?」

このみ「言ってはいますが……。私なんて全然魅力ないし、今はあれだけど昔は暗かったし、もし付き合ったらそういう所を見せちゃうかもしれないし、そもそも私付き合ったことないからどうしたらいいか分からないし、胡麻チーズ好きだし」ブツブツ

京子「このみ、落ち着きなさい」

海華「餅つきなさい?」

鞠愛高校デビューした女がいたんですよ~」

海華「な~~~~にぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」

京子「うるさい!!」

京子「このみ、あんまり自分を卑下しすぎるのは、このみを好いてくれる人たちに失礼よ。私たちもその一部なんだから」

このみ「そ、そうですよね!ごめんなさい、私ったら」

舞 「でも、付き合うつもりはない、なんて今から決めちゃってていいの?」

このみ「うん」

このみ「誰かと付き合うより」

このみ「ここにいる皆といる方が楽しいから」

海華「このみ……」

京子「このみ……」

真埜「このみ……」

舞 「このみ……」

鞠愛「このみちゃん……」

京子「海華、鞠愛、準備して」

二人「はい」

京子「いいわよ、やって」

鞠愛「『誰かと付き合うより、ここにいる皆といる方が楽しいから』って言ってるモテ女がいたんですよ~」

海華「な~~~~にぃぃぃぃぃぃ!?!?!?」

一同「やっちまったなあ!!!!」

京子「あなた自分が何言ってるか分かってんの!?!?!?!?」

鞠愛「高校なんて3年間しかないんだよ!?!?!?」

舞 「もう1年終わるのよ!?今付き合わなくてどうすんの!?!?」

真埜「私たちなんかただの帰らない帰宅部!!!!」

海華「さっさと男作って一緒に帰ってろ!!!」

このみ「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

??「オメぇら、うるせえんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」バリーン

海華「だ、誰!?」

回堂「アアン?てめぇ、この回堂文香サマに向かってなんつー口の利き方してんだオラァァァアア!!!」バーン

鞠愛「怖いよぅ……」

舞 「よしよし」ナデナデ

回堂「あ?てめえら何、チョコなんか食ってんだよ!?なんで顧問呼ばねえんだよ!?」ズーン

教頭「あ、回堂先生!!だからチョコは食べてはダメと……」アワアワ

京子「どういうことですか教頭先生?」

教頭「回堂先生は、カカオを摂取すると理性がなくなってしまうんだ」

海華「ほへー」

教頭「回堂先生、生徒もいますから、職員室へ戻りましょう!!」

回堂「ンだとこのハゲェ!!」ドーン

教頭「ヒエエエエエエエエエエエ」ジョワー

海華「漏らしてる!!教頭漏らしてる!!」

海華「塞げ塞げ!!」

舞 「何もないです!」

海華「腰蓑あるぞ!」

京子「何であるのよ!?」

海華「タイトル回収だよ!!」

このみ「って、なんで私に着けるんですかー!!」

海華「似合ってるぞ。イカみたいで」

舞 「あ!!文香先生がチョコを貪り食ってる!!」

鞠愛「それ私が舞ちゃんにあげたやつですよ!!食べないでください!!」

鞠愛「あなたはこれでも食べててください!!」ガバッ

回堂「ガブッ」

回堂「モグモグ」

回堂「!!!」

回堂「……」

回堂「……」

海華「ん?止まった……のか?」

京子「みたいね……」

舞 「何食べさせたの」

鞠愛「分かんない、多分、見上餅。胡麻チーズ」

真埜「教頭は?」

京子「そこで倒れてる」

海華「運んでやるか」

京子「担架でいいかしら」

真埜「他にないの」

海華「ん?なんか今またまたまたまたまた凄いデジャブ感じたんだけど」

真埜「木の精じゃない?」

舞 「え、何ですかそのメルヘン展開!?」

海華「あ、担架じゃなくて、神輿だったらあるわ」

このみ「あるんですか!?」

海華「どれがいい?」

このみ「なんで5つもあるんですか!?」

海華「右から、火の精、水の精、土の精、木の精、風の精が宿ってるぞ」

海華「このみ、選んで」

このみ「じゃ、じゃあ、木の精で」

京子「ところで、さっきついた餅はどうする?」

海華「見上餅にしよう」

このみ「あ、じゃあ胡麻チーズで!!」

海華「それはない」

このみ「えー、なんでですかー」

宅配便「すみませーん、見ノ越さん宛にお荷物でーす」

このみ「え!? は、はーい……」

一同「??」

京子「何それ、割と大きめね」

このみ「あー、今日告白してくるはずだったの男の子からです……」

海華「告白できなかったの悔しくて、送ってきたのか!?」

鞠愛「私のより大きいチョコ?」

このみ「いや、これは……」ガサゴソ

このみ「よいしょ」スッ

舞 「嘘、これ、チョコフォンデュのタワーじゃない?」

海華「おおー、なるほど」

海華「あ、じゃあ、ここにあるチョコ全部溶かしてやろうよ!」

真埜「楽しそう、すごく」

京子「いややらないわよ」

鞠愛「私、一度でいいから、自分をフォンデュしてみたいんですよね!気持ちよさそう!」

舞 「どんだけわんぱくなのよ……」

海華「いいね!でもそれだったら、このみがやるべきだな」

このみ「え、何でですか!?」

海華「いや、このみ、今イカじゃん。腰蓑。」

このみ「へ??」

真埜「イカとチョコの相性は証明済み」

このみ「いやいやいやいや」

 

 

2話完