今週のひとつ 第17回
前回はカードマニピュレーションをご紹介しましたが、今回は、CDです。
はい、あのCDです。
コンパクトディスクです。
意外でしょ。CDでマジックするなんて。
データ音楽が盛んになってきたこのご時世に。
いやいやそっちじゃないね。
サイズ感ですよ。
CDはいくらなんでもでかすぎでしょ。
そんなん手に隠したり出来ないだろwww
と思ってるそこのあなた。
見てくださいよ。
Han Seol-Hui
はい、出ました韓国勢。
FISM2009のマニピュレーション部門1位です。
CDマニピュレーション自体は、彼が開発したわけではないと思いますが、
たくさんのテクニックやルーティンを作って、
ここまでに仕上げたのはやはり、彼が初めてだと思います。
1本目の動画の途中、おっさんが「袖捲ってんのにね」みたいなリアクションをしてますが、まさにその通りです。
ただでさえ、CDという大きな品物を出したり消したりでどうやって隠してんだって話ですけど、
そもそもどこに仕舞ってあるんだよってくらいの軽装なんですよ。
なんなら半袖Tシャツ1枚でやってる演技もあるぐらいで。
まあそれでも、どこかに仕舞って、どこかに隠したりはしなきゃいけないわけで。
CDマニピュレーションにおける一番の問題は、指先の技術ではどうにもならないこと。
文字通り「指先」の話ね。
手全体とか、腕まで使わなきゃいけないんですよ。
普通に棒立ちでこの演技をやったら即バレます。動きが不自然というか、大きいから。
で、そのためには、手や腕の動きを、よりもっと大きな動きでカモフラージュする必要があります。
でもそれだと無駄な動きが多すぎて、もっと不自然。
困りました。
そこで彼が取り入れたのが、ダンス。
まあダンスってほどでもないですけど。
その動きを演出として自然なものにしちゃうということですね。
アップテンポなダンスミュージックに乗せて、ノリノリで演技しちゃうわけです。
奇遇にも、CDは音楽と密接に関わるアイテムですから、
ポップスを流しても、何ら不自然ではありません。
むしろクラシックとか流したほうが不自然。
とまあ、そんなことを考えていても、やっぱり不思議ですね。
特に、連続芸が実に上手。
「あー、そこに隠してんだろ」と思った頃合いで
出たり消えたり、大きくなったり小さくなったり。
頭が追いつきません。
頭が追いつかないと言えば、
この演技、ちょっと分かりづらい点が多いんですよねえ。
そこが難点。
特にMDがケースに入ったりとかの部分。
「え、今何してんの?」っていう所がちょくちょく。
動画の画質が良くないっていうのもあるんですけど、
まあ遠くから見てるお客さんも、それは多分一緒。
動きが大きいと、やはり観客の焦点を定めることは難しくなります。
その上、彼自身の仕事量も多いし、ジャグリング的な要素も含むからより神経使うし、音楽に合わせなきゃいけないから焦るし、たくさん動いて疲れてるしで、
「何を見せたいのか」まで徹底して魅せる余裕がなかった感のある演技ですね。
うーむ、残念。
あとは、ちょっと無理があるところもやっぱあるわけですよ。
彼も色んなテクニックを開発したでしょうから、やっぱり詰め込みたいのかなっていう感じがしないでもないです。
僕もやってしまいがちなんですけど。
ちょっとそれは手順的に合理的でもないだろう、とか
さすがにミスディレクションかかってないよそれは、とか
ちょっと思ったりはしますね。
でも、やっぱりいい演技です。
音楽との合わせ方も非常にいいですよね。
というかそもそも曲が良いんだ。
House Rulezという韓国のアーティストの「Do it!」という曲です。
調べました。
知恵袋にありました。「ハンソルヒが使ってる曲って何ですか」的な。
彼が使ったからなのか知りませんが、「Do it!」はHouse Rulezの代表曲・人気曲になっているそうです。
で、恐らくハンソルヒが使ってから、彼らも色々協力するようになって、アクトに合わせて「Do it!」のアレンジが多少されていたりします(動画2本目参照)。
僕はダウンロードしてますよ、テンション上げたい時とかに聞いてます。
そんなわけで今回はここらで。